日本ガバナンス研究学会
会長 久保利 英明
2024年9月
会長挨拶


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 会員の皆様、
 昨年に続き今年の夏も東京では連日35度を超える、熱帯並みの酷暑が続きましたが、皆様、お元気に夏を越されましたでしょうか。皆様方の御健勝を切にお祈りしています。

 私は2022年11月に、「内部統制研究学会」を改称して「日本ガバナンス研究学会」と名乗ることとなった当学会の会長を拝命した弁護士の久保利英明です。
 就任以来、「日本ガバナンス研究学会」と改称したこの学会の会員数増強と活動の活性化を目指してきましたが、任期3年のところ既に2年が経過しようとしています。

 当学会は会員増強シンポと銘打って
 @ 「非営利組織におけるガバナンスの在り方と将来展望」
 A 「今問われる、ビジネスにおける人権とガバナンス」
と題する企画を、明治大学駿河台キャンパスのリバティータワーにおいて、既に2度にわたり実施して参りました。参加者はいずれも120名余に及び、会員数増大については一定の成果は上がりましたが、任期は残すところあと1年しかありません。
 私の力不足もあって、会員増加数も、多様な活動の実現も、まだ道半ばであります。最終年度を迎える今年から来年にかけていよいよ、ラストスパートを効かせなければなりません。

 世の中では、「ガバナンス」の文字が新聞・雑誌の紙面に踊り、テレビ・SNSなどの各種メディアで脚光を浴びない日はありません。日本の産業の中核を占める上場会社におけるコーポレートガバナンスのみならず、非営利組織たる大学等の教育機関、大学病院をはじめとする医療機関・介護施設、未上場だが高名なタレントを多数抱えるエンタメ企業、そして巨大政党から地方自治体、その首長に至るまで、政界のガバナンス不全への批判はとどまるところを知りません。当然のことですが、巨大組織のガバナンス強化のためには内部統制システムの充実は必須です。こうしたガバナンスの強化・充実にはそれを担う人的資本の充実が必要条件となりますから、予算的に会員等の寄付により、余裕のある運営が可能となっている当会の役割の重要性は増すばかりです。

 当学会の会員数の増強と多様な活動の充実は、営利・非営利を問わず、多様な組織におけるガバナンス強化とコインの裏表の関係に立つことは明らかです。当学会はこうしたガバナンス強化の時代に、経営者・社外取締役・監査役・社外監査役・監事・研究者・弁護士や公認会計士・公認不正検査士等のプロフェッション・内部監査や内部統制組織の現場担当者たる実務家など、役に立つ人材の供給源たる役割を社会から付託されているのです。

 今年の第17回年次大会は統一論題を「信頼向上に向けたガバナンスの確立〜多様化する組織と不正の視点から」として開催されることになりました。そこでは幅広く、現在の組織と社会が抱える多様な問題と健全なガバナンス構築を困難にする諸事情が展開されるはずです。この機会に会員の皆様が発表者達のビビッドな問題意識に触れ、現状認識を新たにし、より深い考察をわが物としていただけたら、会長としてこれに勝る喜びはありません。

 末尾となりましたが、今年の年次大会を周到に準備してくださった追手門学院経営学部の藤原英賢準備委員長並びに関係各位に対し心から御礼申し上げます。
本当にありがとうございました。
 多数の会員の皆様にご参加いただき、実り多い第17回年次大会となることを祈念しています。